フィリピンの貧困層は父親を知らない。

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 これはくるみがフィリピンのセブ島に語学留学に行っていた頃のお話。

 三ヶ月の留学も終わりに近づいていたある日、くるみは寮の部屋のハウスキーパーであるシェリルとセブ市内にある日本食レストランに来ていた。

 レストランに入った途端、シェリルはそわそわと居心地が悪そうにしている。

「どうしたの?」

 くるみは不思議に思って尋ねた。

「…フィリピン人が来るところじゃないから。」

 キョロキョロと店内を見渡すと、フィリピン人のお客はシャリルともう一人。日本人と思われる中年男性に連れられた若くて可愛い女の子だった。

「日本食初めてだよね?何が食べたい?」

「うーん。全くわからないから任せる。」

 くるみはメユーをざっと見て、日本酒・お寿司・牛のたたき・だし巻きなど適当に頼んだ。

「美味しい?」

「うん。同じアジアなのにフィリピンの料理と味付けが全然違うね。」

「フィリピン人はお箸使わないんだっけ?」

「いつもは手で食べてるよ。」

シェリルはお箸が使いにくそうだった。

「えっ、手で食べるの?」

「学校の食堂でもスタッフは手で食べてるじゃん。」

「スタッフは端の方で食べてるから見てなかった。先生たちはフォークとか使ってるし。」

「先生と事務所スッタフたちはね。ハウスキーパーも警備スタッフも手で食べてるよ。」

「仕事大変?」

「全然。給料良いから助かる。」

「給料良いんだー。先生たちはもっと給料の良い日本人経営の語学学校に転職したがってるけど。」

「近所の子なんて1日100ペソで警備員してるし、職がない子もたくさんいるから。100ペソじゃ弟たちを学校に行かせられないでしょ。」

「100ペソってフィリピンの最低賃金よりかなり安いね…」

「うん。語学学校とかマクドナルドとか外国の企業は最低賃金をくれるから。」

「弟いるんだ。二人兄弟?」

「弟2人と一緒に住んでいるけど、兄弟が何人いるかは知らない。」

「えっ、どういうこと?」

「お母さんは私たちをおばあちゃんに預けて男の人と暮らしてるから。弟たちも父親が違うし。異母兄弟もたくさんいると思う。」

 父親の違う弟たちのために働く。くるみは何と返して良いか分からなかった。

「大変だったね。」

「そんな顔しないで。フィリピンじゃ普通のことだから全く気にしてない。」

「ふ、つう?」

「フィリピンじゃ結婚するのも離婚するのもお金がかかる。それに、キリスト教徒だから離婚も堕胎もできないから。」

 シェリルは本当に気にしてないように見えた。自分の生い立ちを悲しんでも何にも変わらないことを彼女は知っているのだろう。

「普通かぁ。」

 くるみはボホール島で赤ん坊を抱っこして物乞いをする若すぎる母親のことを思い出した。

「うん。私の周りはみんな異母兄弟・異父兄弟がたくさんいるし、父親が誰かも知らない。」

 くるみは自分のこと、日本のことについて何も話す気になれなくて、ただただシェリルの話を聞いていた。

 お会計は二人で飲み食いして1000円くらいだった。日本だったら二人で1万円近くするはずだ。お会計を支払い、レストランでタクシーを呼んでもらった。

「帰りはジプニーだよね?どこから乗るの?」

「歩きだよ。」

「家はこの近くなの?」

「学校から歩いて1時間くらい。」

「1時間!?ジプニー乗らないの?」

「節約したいから毎日歩いてるの。」

「…途中までタクシー一緒に乗りなよ。」

「うん、ありがとう。市役所のところで降ろしてもらうね。」

 シェリルは市役所の前でタクシーから降り、セブの夜の暗い夜道に消えていった。

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